著者は山本兼一さんだが、
『利休にたずねよ』の作者でもある。
『等伯』 上、下巻 の 安部 龍太郎
の本の感動のまま読み進めたの
だが・・・。
こちらは永徳の内面の葛藤を中心に
描いている。
初めの等伯の妻になる きよ に
永徳が惚れてしまうところは少し
納得のいかない部分だ。
等伯とのライバル心を全面に
出したかったのだろうが、
はたしてきよがほんとうに絵描き
だったのか疑問だ。
『等伯』の本とは別物と考えれば
それで良いのだろう。
山本さんは日本画の知識が豊富
で、あたかも狩野永徳の横でレポート
しているように文章を書いている。
すごいものだと感心する。
実際残されている永徳や等伯の
作品もすごいものだ。
この春から
上巻の方は、家系や政治状況
の説明と登場人物の多さで挫折しない
でこの先読み終えるか・・不安だった。
なにせ、学校の春の準備に3人展、
等々あって・・・。そんなに時間が無
かったのでどうなることかと心配したが、
あらかた、高崎線内の東京行きの
電車の中で、遂に下巻まで辿り着き、
尚も、下巻はあっと言うまに引き込
まれて読了した。
等伯の奥さんが亡くなるところは
思わず涙がこぼれた。
下巻で利休の話が出てきたが、
『利休にたずねよ』 山本兼一 著
を思い出した。
この場面では、芸術を守ると言う
ことはどう言うことか・・・。
また制作の苦悩などが描か
れていて興味が尽きなかった。